近隣トラブル相談センター
TOKYO MEDIATION
夫婦や親子間のトラブルについて
夫婦や家族だと相手に対して「『当然知っている』だろうと思っていること」が多くあります。
「家事が、子育てが、介護が、仕事が、大変なこと当然(言わなくたって)わかるでしょ。」と。
また、「言われなくてもわかっている」と思っていることもあります。
親が、自分が漫画家になることを望んでいない。とか。
『わかっているはずだ』が問題の背景になっていたりします。
改めて、話し合い、聞き、知ること、伝え、理解してもらうことで変わってくることがあります。
夫婦喧嘩の例を考えましょう。
夫婦:
1年前に子ども(第一子)を授かる。
それを機に妻は、育児休暇を取り育児に専念する。
夫は、仕事を続け、平日は帰りはほとんど21時過ぎる。
平日や土日に出張になることもある。
妻 A子:
子どもが生まれて嬉しい。
仕事を続けたいと考えている。
夜起きる子どもに対して慢性的な睡眠不足が続いている。
子育てがこんなにも大変だとは思わなかった。と感じている。
育児休暇中、復帰した時に仕事についていけるか不安がある。
自分の時間が持てずに辛い。
夫に家にいる時間を増やして欲しいし、家事や育児をして欲しい。
仕事に復帰したら、仕事と育児と家事を一人で担うことになるのではないかと心配している。
夫 B男:
仕事が忙しい。
子どもが生まれたが、仕事を休んだり、これまでより早く帰ったりする余裕がない。
家族の経済的な部分に責任感を感じていて、将来の経済的な安定を考えると仕事に集中したい。
育児は大変だと思うが、役割分担だと思って、自分は仕事に専念しようと思っている。
妻は働かなくてもいいと思っている。
家に帰ってきても、疲れがすごく、週末以外、育児や家事をやる余裕はない。
そんな状況のある日、
会社の飲み会で深夜酔っ払って帰ってきたB男に対し、
A子:「ちょっとは、手伝ってよ。いいよね。呑んで帰ってこれて」
B男:「役割分担だろ。仕事大変なんだよ。育児休暇とってるんだから、しっかりやってくれよ」
その言葉に子どもが起きてしまい、Aこはあやしに行き、B男はシャワーを浴びに行った。
それ以来、
A子は、B男へ家事や育児への理解と協力がないことにイライラを募らせ、自分だけ仕事ができないことに不満を感じるようになった。それがさらに仕事の復帰への焦りを感じるようになり、子どもがぐずる時によりしんどいと思うようになった。
B男は、家事や育児ができていないことに後ろめたさがあるものの、今が仕事の山場であることに理解のないA子の理解のなさにがっかりした気持ちになっている。
家族のために働いているのに、早く帰らなきゃといろんな誘いを断ったり、これまでとは違うようにしているのに。と思っている。
そして、次第にケンカが増えるようになってしまっていた。
そこでメディエーターが話し合いを促し、話し合うことになりました。
メディエーターはまずは、A子に話を聞きます。
・子育てが大変なこと
・寝不足で、気持ちが腫れないこと
・仕事に戻れるか心配で、なるべく早く仕事に戻りたいと思っていること
・今まったく自分の時間を持てない中、B男が酔っ払って帰ってくると悔しい気持ちになること
・なんかそんな状況で情けない気持ちになっていること
を話しました。
次にメディエーターはB男に話を聞きます。
・仕事が大変なこと
・大きな案件を抱えていて、この成否が大事だと思っていること
・子どもが生まれ経済的な部分で責任を感じていること
・業績があまり良くなく仕事の面で将来的な不安を感じていること
・そんな中でA子に当たられるとイライラしてしまうこと
を話しました。
相手の話を聞いて思ったことや聞きたいことを聞く時間をとりました。
B男は、
・バリバリ仕事をこなしてきたA子が子育てでこんなにまいっているとは思わなかった。
ことを話しました。
A子は、
・そんなに仕事や家族の経済的な支えとして責任を感じているとは思わなかった。
・自分も仕事をして家族を経済的に支えていくからそんなに責任を感じないでほしいこと。
・むしろ、B男には家事や育児をして、自分が仕事に行く支えになてほしいと思っていること。
を話しました。
話していると、
B男の父親は、男は一家の大黒柱であるべきと考える人で、B男もその影響を受けてそうあるべきと思っていたこと。
A子は、A子の母親は看護師としてずっと働いてきた人で、両親ともに助け合いながら、働きながら生活して行くことが当たり前だと思っていたこと。
などが話になりました。
話しているうちに
B男は、A子が自分に対して一人で家族の経済的な支えになることを期待していないことを知り、驚き、考え込むようになりました。
A子は、そんな様子を見て驚き、自分も働くから心配しないで。と思うようになりました。
そして、これから少しずつ、二人の働き方や家事や育児の分担を都度話し合っていこうということになりました。
